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自然の風の中でゆっくりと寝かされる自然乾燥と、
時間をかけた蒸気での人工乾燥を経て、
木たちは、家具の部所にあった含水率に調整されます。


「北の住まい設計社」の家具たちは、ムク材(注1)で作られています。
ムクの木は、家具になってからも、お部屋の空気の水分を吸ったり吐いたりしてくれるわけです。これが「木の呼吸」です。
このことで「木」たちは伸びたり縮んだりするわけです。
そのため、加工前にその木に含まれる水分量がどれくらいなのか、このあと、木たちはどのような動きをするのか、把握されてなければいけません。

私たちの手で。木の乾燥から家具づくりがはじまるのは、このためです。

シベリア産のパイン材は木材屋さんで製材された後、私たちの工場内の人工乾燥庫に直接入ります。

原木は木工場で挽き割り、製材され、北の住まい設計社に届けられます。

天然乾燥庫の中では、人の手によって丁寧に桟積みされた材料が天井まで高く積み上げられています。

板と板の間に挟む桟木は、板との接着面に溝を施したり、現在は斜めに凸を施したものを使っています。

材料にたわみが出ないよう、細かい間隔で桟木が入れられています。

天然乾燥を経たメイプル材で2〜3週間、パイン材の厚い材料となると40日間、80℃の釜の中でゆっくりと水分を抜いていきます。
注1:一部、パイン、メイプル材の家具の引き出し底板は合板ベニヤ(ホルマリン放出度=F☆☆☆☆以下)を使用しています。
含水率の調整が終わったメイプル材
「木」は自然のめぐみです。
無駄なく、できるだけ全ての木たちが使えるように、
家具の各部材へと木取りされ、養生室で保管されます。


乾燥を終えた木たちは「木取り場」に運ばれ、
家具になる各部所にあわせ、多少余裕を持った大きさで粗取りされます。
養生室では並行含水率が一定に保たれ、木たちはここで出番を待ちます。
職人の手によって、各自の持ち場に運び込まれ、家具の部材へと加工が始まります。
「ムクの木」は、それぞれ表情も色も違います。
一つ一つの個性を認めながら、職人の確かな目によって、幾つもの木が組み合わされ、世界で一つだけの家具が生まれます。同じデザインであっても、それぞれの表情が違うのも、ムクの木の家具だからこそなんですね。

人工乾燥を終えた材料は木取り場に運ばれます。

材料が吟味され、治具と呼ばれる型に合わせて仕上がりよりも多少大きめに木取り(粗取り)されます。

木取り用の治具

隣り合う板の表情を見ながら、十数台分の材料を手早く組み合わせてゆきます。職人の目の光る瞬間です。

テーブルの天板は「フィンガージョイント」接合。

天板、側板など板はぎは、高周波で1〜2分というスピードで接合されます。
木取りが済み、養生室で保管される材料
昔ながらの工法で、手仕事で、修理も可能なように。
一つ一つの家具を、一人の職人が完成させてゆきます。
仕上げは、天然の植物油と蜜蝋で。


家具の一部となるそれぞれの部材が、ホゾ組と呼ばれる昔ながらの工法で、一つ一つ加工され、組み上げられてゆきます。
基本的には、一人一人の職人がそれぞれ一つの家具を完成させてゆきます。
ですから、一度に作れる量は、大きな工場に比べ限られています。

ムクの木の呼吸を妨げないように、使うほどに味わいが増すように、
そして、作る人にも使う人にも、やさしく、もし、使われなくなったとしても、地球の環境に負荷をかけないように、天然の植物油をベースにしたオイルを木肌に染み込ませ、蜜蝋で仕上げます。(注2)

屋根の葺き替え以外は50年前の開校当時のまま、修理をしながら工場として使っています。

木取りから上がった材料を、各部材ごとに厚みを正確に揃える「手押し」。

椅子はチームで制作。加工と組みに分かれ、若い職人の勉強の場でもあります。

張り場。タンニンでなめされた、しなやかで上質の革でていねいに仕上げてゆきます。

組立の終わった家具たちは塗り場へと運ばれ、次々と仕上げられてゆきます。

オイルは亜麻仁油。ワックスは蜜蝋。共にドイツ製で、有機溶剤は使用していません。
北の住まい設計社の家具の特徴でもある、「ほぞ組み」。
修理が可能なしっかりとした作り。
注2:メイプル、チェリー、ウォルナット材の仕上げです。
パイン材の家具は、カルナバ蝋、カンデリラワックス、ヒマワリ油、大豆油などをベースにしたワックス仕上げです。